(書評)ジェレミー・シーゲルの名著「株式投資の未来」を語る!米国株投資家にお薦めの投資本

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米国株(アメリカ株)投資家におすすめしたい、日経BP社から出版されている投資本、ジェレミー・シーゲル氏の名著「株式投資の未来(永続する会社が本当の利益をもたらす)」の書評記事です。

 

基本的に私はあまり読書家ではありませんが、投資家さんがブログなどで推奨しているような株式投資関係の本に関しては時間を見つけてできる限り読むようにしており、国内外問わず有名どころを中心に、これまで数十冊ほどの株式投資関連の本を読み漁りました。

 

しかしながら、書店に並んでいる株式投資本はと言うと、一発逆転型の博打投機のテクニック的なものであったり、翻訳のレベルがかなり低いため今一つ理解が進まない海外の本であったりと、数多く出版されている割には良書と言えるものが少ないように感じます。

 

そのような中、私の株式投資に対する考え方を変えるほど参考になった本が、米国株投資家であれば誰もが一度は手にしたことがあるであろう、このジェレミー・シーゲル氏の著書 “永続する会社が本当の利益をもたらす” という副題の「株式投資の未来」です。

 

そこで今日は、名著と呼び声高いこの「株式投資の未来」を実際に読んだ上での率直な感想やレビュー、さらには個人的に気になった点などについて、できる限り具体的かつ分かりやすくご紹介してみようと思いますので、是非参考にしていただければ幸いです。

 

名著「株式投資の未来」の最も優れているポイント

 

この「株式投資の未来」の最大の特長は、上記の通り怪しいテクニック本が大多数を占める中、シーゲル氏自らが米国S&P500を構成する各銘柄の膨大な株価データを追跡調査し、その調査データを根拠として高リターンが期待できるであろう銘柄やセクターを具体的かつ客観的に紹介している点です。

 

しかも、単にデータの上でリターンが高かったというだけに止まらず、それらの銘柄のリターンが高くなった背景や理由についても根拠を示しながら丁寧に説明されているため、説得力が増すと共に私のような金融リテラシーが乏しい読者にとっても比較的理解が進みやすい内容になっています。

 

つまり、内容は勿論ですが、それ以上に専門的かつ難解になりがちなテーマであるにも関わらず、データを適切に用いて客観的かつ分かりやすい明解な語り口で解説してくれている点が、「株式投資の未来」の最も優れたポイントだと言えましょう。

 

シーゲル銘柄ランキング上位20銘柄

 

投資家にとっては最も気になる部分でもあるため参考までにご紹介すると、「株式投資の未来」の中で1957年~2003年までの46年間における、年率リターンの上位20銘柄として挙げられた通称 “シーゲル銘柄” は以下のような形になっています。ある意味で、投資家の明るい未来を約束してくれる可能性が高い銘柄群とも言えましょう。

 

リターンランキングトップ20(※)


  1 Philip Morris
  2 Abbott Laboratories
  3 Bristol-Myers Squibb Co
  4 Tootsie Roll Industries
  5 Pfizer
  6 Coca-Cola Co
  7 Merck
  8 PepsiCo
  9 Colgate-Palmolive
10 Crane
11 H.J. Heinz
12 Wrigley
13 Fortune Brands
14 Kroger
15 Schering-Plough
16 Procter & Gamble
17 Hershey Foods
18 Wyeth
19 Royal Dutch Petroleum
20 General Mills 

※「株式投資の未来」より引用 

 

ご覧の通り、シーゲル氏が黄金銘柄(コーポレート・エルドラド)と呼んでいる、主に生活必需品セクターとヘルスケアセクターに属する名門企業が大半を占めていますが、何を隠そうこのランキングこそが私のポートフォリオにも大きく影響を与えたと言っても過言ではありません。

 

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大半が強力な消費者向けブランドを保有している歴史ある優良企業であり、投資家からは市場平均をごくわずかに上回る程度の増益しか期待されていないにも関わらず、実際の増益率は市場平均を大きく上回ったことが、これら黄金銘柄が特に高いリターンを叩き出した主な理由だとされています。

 

シーゲル氏が、これらの伝統的に勝ち続けてきた歴史あるこれらの企業群に敬意を表し、時に裏打ちされた銘柄群と表現している点も非常に印象的です。

 

投資家の常識を覆す「成長の罠」という斬新なコンセプト

 

「株式投資の未来」の根底にある考え方が「成長の罠」というコンセプトであり、IBMとエクソンモービルや、中国とブラジルといった具体例を出しながら、幾度となく成長する銘柄や国がより大きなリターンを叩き出すという一般的な常識に対して異議を唱えています。

 

具体的には、投資家の誰もが疑いようがない成長銘柄や国といった投資対象よりも、一定以上の成長を実現できるにも関わらず投資家の期待が集まらない投資対象の方が、意外にも結果的にはパフォーマンスが高くなるという主張だと言えましょう。

 

要するに、前者の場合は投資家の期待により割高になるが故に再投資での購入分が少なくなるのに対し、後者に関しては、期待が低い分割安になる傾向にあるため再投資で株数を多く購入でき、結果として後者の方が持ち株数を増やすことができるため、後者の方がより資産の成長につなげやすいという理屈です。

 

その意味では、現在既に投資対象としての人気も高いほか、飛ぶ鳥を落とす勢いがあり、世の投資家の誰もがこの先の成長を信じて疑わないアマゾン・ドットコムなどは、まさに成長の罠に嵌ってしまう投資対象だと言えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

 

いずれにしても、この「株式投資の未来」を読むまでは私自身も、大きく成長する銘柄なり投資対象がより大きなリターンを生み出すと漠然と考えていたため、本書を通じて株式投資の意外な一面を見せてもらうことができました。

 

本書の結論「インデックス投資とリターン補完戦略」とは

 

上記でご紹介したような様々な前置きを踏まえた上で、シーゲル氏は、買い持ちするに当たっての最適且つ具体的な投資対象を最終章で明らかにしていますが、それが「インデックス投資とリターン補完戦略」というものです。

 

それは、国際インデックスファンドを核としながらも、上記で紹介したような独自の調査により判明した、高いパフォーマンスを残したセクターや銘柄により補完することで、リスクを分散しつつもリターンを向上させることを狙う戦略です。

 

具体的に言うと、ポートフォリオは全て株式で構成され、ワールド・インデックスファンド(50%)を核とし、残りの50%をリターン補完戦略で構成します。なおリターン補完戦略の内訳は、「高配当戦略」「グローバル戦略」「セクター戦略」「バリュー戦略」に対してそれぞれ10%~15%ずつ配分するというものです。

 

欲を言えば、リターン補完戦略の中身をもう少し具体的にしてくれると有難かったのですが、そもそも投資家によってリスク許容度やコンディションが異なることを考えると、その部分は各投資家自身が自ら考え決定して行くべき余地なんだろうと思います。

 

いずれにしてもこの結論、さらには結論に至る背景や理由を正しく理解するには、本書に加え、前作に当たる「株式投資」を読み解かなければならないため、この場では、結論に当たるポートフォリオ論をご紹介するだけにとどめることにします。

 

推奨ポートフォリオ論に関するミステリアスな謎

 

基本的には稀に見る良書であることは間違いありませんが、一つだけ残念な点があります。それは「株式投資の未来」というタイトルに添えられた、“永続する会社が本当の利益をもたらす” という副題や本書の前半の内容と、上記でご紹介した結論にあたる具体的なポートフォリオ論の内容が今一つ一致しないことです。

 

この副題や前半の内容から想像するに、人間の存続に必要不可欠な商品やサービスを扱う生活必需品セクターおよびヘルスケアセクターに属する銘柄が永続する会社に該当し、そのような銘柄が株主に利益をもたらす銘柄であるという結論に至るような気がしますが、実際に推奨されているポートフォリオは、上記の通り国際インデックスファンドを中心とした構成になっています。

 

私だけなのかもしれませんが、副題と前半の内容から、最終的には具体的に上記2セクターを中心とした個別株式で構成されたポートフォリオが紹介されているとばかり思って読み進んだため、正直なところ少々ガッカリ感を感じてしまいました。

 

実は「株式投資の未来」の中に、そのような不一致に疑問を抱く読者にとってはとても気になる部分、つまり本書を執筆するにあたり実施した調査を通じて、シーゲル氏自身の投資対象に対する考え方の変化について触れている部分があります。

 

「長期的に投資するなら、どの銘柄を買えばいい?」に対するわたしの答えは、本書のために調査する以前と以降で、変わってしまった。以前は、株式に配分できる資金をすべて、なるべく幅広く市場をカバーする普通株のインデックス・ファンドに注ぎ込むように奨めていた。いくつものデータからみて、アクティブ運用のマネージャーやミューチュアル・ファンドの運用成績は、手数料を差し引けば、低コストのインデックス・ファンドにかなわないことがあきらかだったからだ。長期的に財産を積み上げたいなら、インデックス運用がいちばんだと思えた。だがいまでは、もっと上を目指せる戦略があると確信している。(「株式投資の未来」より引用)

 

誤解のないように言っておくと、上記はインデックス運用を否定しているものではなく、単なる国際分散型インデックスファンドのみを投資対象とするのではなく、それに補完する投資対象を追加することでリターンを高められる、という主張の前段に当たるため、考え方が真逆に変わった訳ではありません。

 

ただ個人的には、これこそが私が感じた違和感の手がかりになる部分であり、実は何らかの理由により、急遽結論部分のみ書き替えて出版したためにそのような不一致が発生したのではないか、という疑惑を密かに持っています。

 

つまり当初の原稿では、個別株のポートフォリオを推奨する結論になっていたにも関わらず、公に出版する書籍で具体的に表現してしまうのは、あまりにも反響やリスクが大きいという理由から、実は結論をインデックス運用中心の内容に書き替えており、上記の引用部分はその名残りではないか?というものです。

 

本題からは逸れた内容にはなりますが、実際にあるか否かは別としても、そういう隠された真実を探るような観点から読み進んでみると、本書を読む本来的な目的とはまた一味違う楽しみ方ができるかもしれません。

 

最後に

 

このようなレビュー記事を書いてはみたものの、このシーゲル氏の「株式投資の未来」は、既に米国株(アメリカ株)投資家の中ではバイブル的な存在として確立された書籍でもあるため、既に読んでいる方の方が多いような気もしますがいかがでしょうか?

 

いずれにしても、人でもモノでも欠点を見つけるのは得意でも褒めることが苦手な私ですが、この「株式投資の未来」に関しては本当に買って良かった感じている珍しい書籍でもあるため、もしまだ読まれていない米国株(アメリカ株)投資家の方は、是非一度読まれてみることを強くおすすめします。

 

また、私の勝手な思い込みに近い内容ですが、最後に触れた推奨ポートフォリオ論の書き替え疑惑についても気にして読んでみていただくと、また違う楽しみ方もできて良いかと思いますので、是非お試し下さい。

 

それでは最後に、17章第5部ポートフォリオ戦略中の結論パートの最後に語られている、世の投資家に向けたシーゲル氏の本音とも受け取ることができる印象的なフレーズをご紹介して、この記事の結びとさせていただきます。

 

たしかに、長期投資で成功を収めるのは、少しもむずかしいことではない。成長の罠を避け、時に裏打ちされた価値にしがみつけばいい。これまではこの戦略が、じつに投資家のためになった。これからはそうならないとみる理由は、どこにもない。(「株式投資の未来」より引用)

 

 

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